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鈴木貞夫のインターネット商人元気塾
鈴木貞夫のインターネット商人元気塾【バックナンバー】

鈴木貞夫

1956年一橋大学卒、同年現池袋パルコ入社、1976年サンチェーン代表取締役社長、


1989年ダイエーコンビニエンスシステムズ代表取締役副社長、1995年ローソン相談役、


1999年ローソン親善大使。現在ソフトブレーン・フィールド(株)特別顧問。


1992年(社)日本フランチャイズチェーン協会常任理事、副会長を歴任 。鹿児島出身

鈴木貞夫氏(すずきさだお)
1934年1月3日生

【11月号】


<コンビニ創業戦記>第18回
・・ロ―ソンのル―ツ「サンチェ―ン創業物語」・・


「サンチエ―ンの創業」
<T・V・Bサンチエ―ン時代(その12)>
――転機・ダイエ―との業務提携――


前記のような「人材の城」創りへの全社的・組織的な挑戦を進めると同時に、プロ商人の基本として、社員一人一人の「三つの努力運動」を、日常的に推進していく。 私は、その意義を次ぎのように強調した。

1・喜んでお客様の名前を覚えよう!
  「地域で一番親切なお店」を目指し、お客様の名前を覚える事から始めよう。 お客様を名前で呼びかけ、話し合えれば、お店の雰囲気は変る。 名前を知ることは人間を知ることであり、人間を知ることは心が通じ合う事である。

2・お客様の声・要望を真剣に聞こう!
  「地域で一番便利なお店」を目指し、毎日、買いに来て下さるお客様の声を聞く事である。   その声を整理して、お客様の満足の行くものに努めよう。 この努力が我々一人一人の習慣になれば、お客様にとって本当に頼もしいお店になる。

3・帳票ミスを絶滅しよう!
  「地域社会の太陽」となるには小さなことをキチンと正確に、持続的に積重ねていくことだ。』

このような全社的な努力と社員の個人的な努力を噛み合わせながら、サンチェ―ンは、 創業3年目の昭和54年(1979)末には、店舗数も300店舗に達し、売上規模も300億円にのぼる事になる。

しかしながら、未だ規模の利益は実現出来ておらず、しかも出店資金の大半は、取引先からのいわゆる「回転差資金」であったから、その頃になると「信用の限界」が生じ、転機を迎え始める。

また、前年からの全国展開による急速な広域拡大戦略で、人材のシフトや不振店のスクラップも必要となり、出店のペ―スを落とすことを余儀なくされた。

加えて、親会社である(株)T・V・Bでは、社会環境・市場環境の成熟化に伴うナイトレジャ―分野の多様化、競争激化といった風潮の中で、本業が急速に停滞し始める。

機敏な小松崎T・V・B社長は、ホテル、レストラン、クラブ、キャバレ―などの売却を初め、グル―プ事業の戦線縮小・整理に素早く取り組んでいくことになる。

当時既に、サンチェ―ンはT・V・Bグル―プの中では、最大企業になっていたから、その信用保証はT・V・Bの最大の重荷となっていたと思う。

サンチェ―ン創業4年目を迎えた昭和55年(1980)は、モスクワ・オリンピックに、日本を初め西側諸国が不参加を決議したことで記憶される年である。

国内では、大平首相が急死し、鈴木内閣が成立、長島茂雄巨人監督が辞任、そして業界では、「セブンイレブン」が1000店舗を達成、「サークルK」,「サンクス」、「ミニストツプ」などがスタ―トした年でもある。

この年の春、(株)T・V・Bと流通トツプ企業(株)ダイエ―との提携交渉が、取引銀行の仲介の下で進められることになった。  ダイエ―は当時、当たるべからざる勢いを持つス―パ―を中核とした日本最大の小売業であり、昭和49年(1974)には、アメリカのロ―ソン・ミルク社と提携し、コンビニエンス・ストア部門に「ロ―ソン」として進出していたが、2年前の昭和47年(1972)に先発した、ライバルのイト―ヨ―カ堂系列「セブンイレブン」が独走を続け、大きく水を空けられていた。 その時点で、セブンイレブンが首都圏を中心に900店以上を展開していたのに対し、ロ―ソンは180店舗に過ぎず、特に首都圏には40店舗と劣勢であった。

ダイエ―の中内社長は、コンビニエンス・ストアが将来急成長できる小売業態と見ており、イト―ヨ―カ堂との首都圏制覇競争に非常な力点を置いていたから、首都圏に多くの拠点を持つサンチェ―ンの店舗網は魅力のあるものであった。

サンチェ―ンから見れば、ダイエ―のチェ―ン経営力、商品開発力、システム力などに期待があった。

度重なる交渉の結果、両者の戦略と思惑は一致し、提携の合意が成立した。

かくして、昭和55年9月、(株)T・V・B・サンチェ―ンと(株)ロ―ソン・ジャパンとは、業務提携を締結した。

日本経済新聞は、トツプ記事で「コンビニ店で大型提携」と速報した。

[提携内容]
1・C・V・Sの経営・システムなどのノウハウの相互交換
2・C・V・Sの事業運営に付いての情報交換
3・若干名の人材交流
4・両者の株式持合い
を骨子とするものであった。

私は、「幹部総会」「社員総会」の場で、
『提携の目的』
1・信用力の強化
2・商品調達力の強化
3・チェ―ン・オペレ―ション力の強化
4・人材組織力の強化
5・出店力強化
6・キャッチセブン・オ―バ―セブンの促進」であり、

『提携に臨む方針』として、
1・サンチェ―ンの歴史的飛躍の好機と捉えて、第二創業の精神で「サンチェ―ン魂」 ここにありを示し、一層の成長活力を発揮しよう。

2・創業以来のオリジナル・ハンドメイドのノウハウ・システムに確信をもって、 更に磨きをかけ、その真価を発揮してロ―ソンをリ―ドしよう。

3・日本一流通業ダイエ―グル―プとのオ―プンな経営交流を通じて、 真のプロ流通マンとしての総合力を築き上げよう。」と、社員の不安と動揺を招かないように熱弁した。

(以下次号)

  
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